毎週金曜20:10〜20:35 ラジオ局J-WAVEで放送、変化し続ける時代の中、本質を捉え未来へとつながるイノベーターの思いを言葉に変換して、リスナーのみなさんにお届けしていく「Morisawa Fonts ROAD TO INNOVATION」。10月4日(金)は、NOSIGNER 代表でデザイナー(プロダクトデザイナー・グラフィックデザイナー・建築家) / デザインアクティビスト / デザインストラテジスト 太刀川英輔さんが登場。気候変動の緩和や適応、再生可能エネルギー、防災、地域活性など社会課題を扱う数々のプロジェクトを手がける太刀川さん。これまで手がけてきた様々な事例の裏にある考えに迫りました。▼目次「東京防災」や横浜DeNAベイスターズなど様々な施策を手がけるまずは、太刀川さんが手がけたプロジェクトについて、番組ナビゲーター・川田十夢さん(AR三兄弟)が深掘り。最初に川田さんが挙げたのが、東京都発行の防災ブック『東京防災』。太刀川さん曰く、これは東日本大震災直後に始めた活動「OLIVE」が「かなり元になって」生まれたものだそう。「そういう(防災)関係の本って、いざ何か起こったときに手元になかったりするじゃないですか。あの本はちゃんと取っておきたくなるパッケージだから、絶対みんな持っているんですよね。それも計算したんですよね?」と川田さんが訊ねると、「結構難易度が高いデザイン。ターゲットが老若男女全員という仕事って普通ないじゃないですか。だから微妙にずらしていく。イラストはちょっと若めなんだけど、漫画はかわぐちかいじさんみたいな、ちょっとずつずらして『なんか俺のかもしれない』と思う範囲を広げるという仕事ですよね」と、老若男女全てに手に取ってもらえるようデザインに込めた狙いを語りました。続いて「勇敢だなと思った仕事でした。動きがすごく早かったですよね」と川田さんが触れたのは、太刀川さんがコロナ禍で立ち上げた「パンデミックから命をまもるために、世界中で考えられた知恵をまとめる共同編集ウェブサイト」である『PANDAID』。太刀川さんの事務所が横浜中華街にあり、「(新型コロナ)ウイルスが発生した後で中華街から人が誰もいなくなったんですよ。そんな中で僕の行きつけの刀削麺屋が潰れ、行きつけのタピオカ屋が潰れ…」という時点で「ふざけんな」と思ったことから始めたといいます。このプロジェクトのひとつ、クリアファイルのみで作るフェイスシールド『PANDAID FACE SHIELD』は、「ちゃんとデザイン的でしたからデザインの啓蒙にもなるし、デザインがちゃんと作用するんだというのが示されたなと思いました」と川田さんは振り返ります。「クリアファイルに3ヶ所線を入れ、切ると、フェイスシールドになる。世界中の人が使ってくれました」(太刀川さん)。横浜では、プロ野球・横浜DeNAベイスターズの様々な施策のブランディングにも携わりました。「近所のカフェを作ったり、ライフスタイルブランドを作ったりとか、(球団を)“街に開く系”のことですね。球団(全体)のブランディングとはちょっと違うんですけど、いろいろ手伝わせていただきました」と太刀川さん。“いいアイデア研究”から始まったこういった事例を振り返りながら、川田さんが太刀川さんのすごさとしてあげたのが「社会的な接続」。川田さんは「現象として、ちゃんと持ち物として、プロダクトが手元にあるというのはやっぱりすごいと思いますよ。『東京防災』とかみんな(の家)にある」とし、さらに太刀川さんを「勇敢な人、あと、何より進化思考」と表現。「ひらめきとかアイデアには、進化とかプロセスがあって…というのを体系化して、ちゃんと伝えようとしているのが素晴らしいです」と、『進化思考』(海士の風、初版2021年、増補改訂版2023年)『デザインと革新』(パイ インターナショナル、2016年)といった書籍を通して体系化して発信している点にも触れました。それを受け太刀川さんは、体系化は自身のための「いいアイデア研究」による「副産物」だと語ります。「やたらパソコンが得意でCGとかバリバリ書いて、なんかシュッとかっこいいものができる。見た目にはいいんだけど、ワンアイデアで負ける」「どっちかっていうと物量で押し切るタイプ」と自身の過去を振り返り、「だけど、安直なワンアイデアで(競合相手に)抜かれたときのあの感じの悔しさ。そしてそれが一体どういう理解に基づいて、あれがいい・悪いとなってるんだということに興味が出たところから、“いいアイデア研究”が始まって、自分をトレーニングするために“自分トレーニングプログラム”を作っていく人生だったんですよ」と振り返ります。「それを20年やっていたら、生物の進化と結びついて『進化思考』になったという感じでした。もう完全に自分のためだったんだけど、副次的にできた。つまり創造性をちゃんと教えられるかもしれないじゃないかと(思った)」と、自身のための研究が書籍へと繋がった過程を明かしました。「教え始めるのは結構早かったです」と、大学院時代から専門学校で教える機会があったという太刀川さんは、「その過程の中で、ちゃんと教えられるかもしれないというところの面積がだんだん増えていって、しかも考えてみれば創造性を上げられるとなると、あらゆるものが創造によって生まれているわけだから、これ(創造性)は人類の課題じゃないですか。デザインという領域だけじゃなく体系化していこうと思うようになったんです」と書籍として形になるまでを振り返りました。「触媒」としての自身の役割「Morisawa Fonts ROAD TO INNOVATION」では、ゲストに「自分自身の考えを自ら切り取る言葉」を訊ね、その言葉を、ゲストお気に入りのフォントとともに紹介します。太刀川さんが自身を切り取った言葉は、「進化の依代(よりしろ)」。 この言葉の意味合いを聞くと「触媒みたいなイメージですかね。あまり、デザインも自分で作っている感じがしないんですよ。いろんな関係性を発見したらそっちになっちゃった、みたいなのが好きで。自分の範囲でとどまっているものってあまり魅力的に思わないんですよね。その状況が導いてくれるものの方が面白い」と語りました。お気に入りのフォントについては「全デザイナーが好き」(太刀川さん)という「見出ゴMB31」をセレクトしました。%3Ciframe%20src%3D%22https%3A%2F%2Fplayer.sonicbowl.cloud%2Fepisode%2Fe22a9eec-8bc5-4fa3-babe-feedd980c165%2F%22%20allow%3D%22autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20fullscreen%3B%20picture-in-picture%22%20height%3D%22240%22%20width%3D%22100%25%22%20style%3D%22border%3A0%22%3E%3C%2Fiframe%3E