11月29日(金)は、特殊メイクを軸に、人に対するメイクやマスクのみならず、音楽フェス会場全体のアートディレクションなどにも表現の領域を広げているアーティスト・快歩(KAIHO)さんが登場。番組ナビゲーター・川田十夢さんとは、東京・有楽町駅前「SusHi Tech Square」で12月25日(水)まで開催中の「エモーション・クロッシング展」の会場で、川田さん率いるAR三兄弟の展示と快歩さんの展示が隣り合っているという繋がりが。この「エモーション・クロッシング展」での快歩さんの展示エリアでは、「実際に自分が作ったマスクなどが置いてあって、お客さんにかぶってもらえる」とのこと。▼目次「作り物」だけど「存在していそう」なものを作る川田さんは、快歩さんの作品について、特殊メイクやマスクは通常「物語の中のキャラクターを彩る」ものが多い中、「快歩くんが作るものは、もうそのまま物語というか、何か今まで感じたことのない感想」と表現。快歩さんは、「作り物だけど本当に存在していそう」という点を意識しているとのことで、メイクやマスクについて「完成してから汚すとか、ちょっと使用感を出す」ようにしているそう。「そうだよね、確かに(現実にも)いるだろうなという(印象)」と川田さん。快歩さんに自分自身が思う作風について聞くと、「見たことないものを作りたい、みたいなものはずっと強くて、それをずっとやっている感じ。自分が想像しているものを出現させたい気持ちがすごく強くて」「本当にいたらこんな感じなのかな?とか思いながら作っている」との答えが。川田十夢さんとの共通するルーツ「作り物というよりは、生き物って感じがするよね」という川田さんは、「アウトプット(の形)は全然違うんですけど、僕はすごく共通点を感じていて」と、自身がARで表現することと、快歩さんがメイクを通して表現することの共通項についてトーク。「見えないものを可視化する。頭の中でイメージしたものをちゃんと形にする。僕は実装するという言い方をするけど、分野は違っても近しいものがルーツとしてある」と感じているよう。そんな川田さんは二人の共通するルーツとして漫画家・水木しげるさんを挙げ、快歩さんも「めっちゃ好きですね」とのことで、放送では「こんな好きなんだ合戦する?」(川田さん)という流れに。持っている本など、水木さんに関するそれぞれの「好き」エピソードが語られました。実家の花屋の前でお面を売っていた続いてトークは、快歩さんの原風景・原体験について。「(原風景は)地元にとかは意外となくて、子供のときから妖怪とか見えない世界に憧れが強かったので、何か探してはいましたね」といいます。その快歩さんに川田さんが訊ねたのは「学校の枠組み」の中で褒められたかどうかという点。「何かを生み出す仕事って、そんなに普段褒められないじゃないですか。学校の通信簿で出てこない、妖怪とかって別に与えられた課題じゃないから」と川田さん。「勉強は全然できなくて、図画工作とかだけ好きで、そこは褒められたりはしてました」という快歩さんに、「そうか、そこでちゃんと褒められて、それを自分で伸ばしたのかもしれないですね」と川田さんは考察。さらに「そういう個性的な人って、どこかで自分の採点基準がないと続けないだろうなと思って。作ることに関して、最初のアウトプットって何ですか?」とさらに原体験を掘り下げていきます。快歩さんは「子供のときに、実家の花屋の前に机を置いて紙で作ったお面みたいなものを売っていた」写真が残っていると明かし、「売れなかったらしいんですけど、今やってることとあまり変わらない」と思ったそう。 社交性と独創性の両立さらに「アルバイトも結構してるよね」と川田さんが聞くと、「めちゃくちゃしてました。自分の好きな表現をやりたいって決めたらなかなか仕事はなくて。バイトしながら、バイト以外の時間で、バイト代で自分の作品を作ることをひたすらやってましたね」と振り返る快歩さん。この質問の意図として川田さんは「快歩くんみたいな、独創的な世界がありながらちゃんと社交性を持ち得ている人はどうしてるんだろうと思ってて。両立はどうしたらできるんですか」と続けます。「自分も知りたいですねそれ、難しいな…」と快歩さん。「メイクだと、モデルさんとコミュニケーションを取ってメイクを作り上げていくみたいなプロセスがすごく大事、そこで何かうまくいかないと作品のクオリティも下がるなと思って、そこで多分、徐々にコミュニケーション取れるようになっていったのかなと思ってます」とのこと。放送では、清水崇監督による映画『こどもつかい』で、「特殊メイクの先輩」に現場に「入ってくれ」と言われて入ると、「1人で(現場で)行って」ということになり、主演・滝沢秀明さんのメイクを担当することになったという19歳当時のエピソードも語られました。 アーティスト・yamaのマスクを制作マスクによって素顔が隠れているアーティスト・yamaさんのマスクを快歩さんが手がけている点についてもトーク。このマスク制作について快歩さんは、「本人と会って顔の型も撮らせてもらって。ビタビタに本人にハマるように作ってますね」と解説。「あのマスクは何か叙情性があるよね。よくあんな形思いつくなって」「やっぱりyamaの神秘的なところ(もあり)、でも神秘的なんだけど感情が露わになってる」と川田さん。快歩さんは、「顔隠しちゃって表情わかんない、は良くないなと、何か想像できるようなデザインにしよう、みたいことは意識して作ってました」と明かしました。予算が1億円あったらメイクしてみたいのは? 現在では、音楽フェス会場全体のアートディレクションなど、人の顔にとどまらず表現の領域を広げる快歩さん。「そういう、自分が想像を全然していないような面白い仕事が入ってこないかなと思っています。フェスの会場を飾るなんて思っていなかった」「全然やったことない業界とか、会場とか、『あいつにやらせたら面白いかもしれない』みたいなものを待ってる感じですね」と今の仕事へのスタンスを語りました。川田さんに、予算が1億円あって「好きにやって」と言われたら何を作るか聞かれると、「1億でできるのかわからないんですけど、東京タワーに特殊メイクしたいです」と快歩さん。「最近、人じゃなくてもやってることは変わらないなと思って。東京タワーのシルエットとか流れとかを見て、そこに造形をつけていって…みたいな考え方」「なんか顔に見えたりとかするから、何かやりたいですね」という快歩さんは、「人にするのが特殊メイクと思ってはいたんですけど、やればやるほど何でもありだなと思っていて」といいます。川田さんも、「それはすごい物差しだね」「僕はプログラミングの拡張なんだけど、その世界を『結構何でもできるんじゃないか』って思い始める物差しを、自分で勝手に探検した結果持つと、楽しくてしょうがないですよね」と納得。そして快歩さんと、ARで現実を拡張する川田さんが一緒にどんなことができるかという話も。「特殊メイクってその一瞬だけの出来事なんですよ。メイクして、撮影したらもう外しちゃって、自分が想像したものは消えるんですけど、それをARで読み込んだら出てくる、実際にそこにいるような体験とかできないですかね」という快歩さんに、「できるでしょうね」と川田さん。さらに「今まで作ったマスク」をARで誰でも体験できるようにするというアイデアを続けました。 自身を切り取った一言は「奇妙で自由な表現」「Morisawa Fonts ROAD TO INNOVATION」では、ゲストに「自分自身の考えを自ら切り取る言葉」を訊ね、その言葉を、ゲストお気に入りのフォントとともに紹介しています。K快歩さんが自身を切り取った言葉は「奇妙で自由な表現」。選んだフォントは「ハルクラフト」。「めちゃくちゃ直感なんですけど、太めのフォントが好きで結構使ったりしちゃいますね」と選んだ理由を語りました。PODCAST | 川田十夢×快歩(KAIHO)本記事の放送回をディレクターズカットでお聴きいただけます。%3Ciframe%20src%3D%22https%3A%2F%2Fplayer.sonicbowl.cloud%2Fepisode%2F643118fa-5843-44d5-85f7-8ad09dea4c33%2F%22%20allow%3D%22autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20fullscreen%3B%20picture-in-picture%22%20height%3D%22240%22%20width%3D%22100%25%22%20style%3D%22border%3A0%22%3E%3C%2Fiframe%3E