1月17日(金)は、「23区に上京したある女の子の東京での生活を中心としたエッセイ集」である『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』がヒットした、作家・小原晩さんが登場。小原さんの作風や考え方などの特徴に迫りました。▼目次自費出版したエッセイが昨年商業出版に『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』について、「ここ最近エッセイを読んだ中で一番面白いです」とナビゲーターの川田十夢さん。このエッセイは元々自費出版しヒットした作品が、昨年2024年、新たに17篇を加え商業出版となったもの。川田さんが「最初にエッセイという形にしたのって理由あります?」と聞くと、「エッセイが一番読み慣れてたので、書くとするならエッセイかなという感じでした」と小原さん。小原さんが好きなエッセイの書き手として又吉直樹さん(ピース)、若林正恭さん(オードリー)、穂村弘さんを挙げると、その顔ぶれについて川田さんは「平易な言葉だけど、すごい深いところをちゃんと言葉にしてる人たちですよね」と印象を語ります。また「(小原さんのエッセイに)触発されて、10篇ぐらいエッセイを書いたんです。発表する場所もないんですけど」という話題も。ここで唐揚げ弁当を食べないでください 小原 晩 著実業之日本社 Webサイトより“久しぶりに集まった時に喋る”ようなエピソードを書く川田さんは「人間にはその人らしいエピソードっていうのがあって、小原さんはそれを書いてる気がする」と言います。「その人を表すエピソードを小原さんは書き留めて、ちゃんと本にしてるなと思ったので。ああいうのは覚えてるものなんですか?」と川田さんが聞くと、「覚えてて、あまりメモを取るタイプじゃないんですけど、久しぶりに集まったりして喋る話ってあるじゃないですか。“毎回話しちゃう話”みたいなのを多分書いてるので」と小原さんは自身の作風について語ります。“その人にくっついてるもの”を覚えている「人によっては流してしまう話、当事者にとっても『その話もう忘れてよ』という話かもしれないけど、でもどう考えてもその人を表すエピソードってあるじゃないですか。そういうことをちゃんと取り出せる人だなっていうのがわかると、読書ってずっと時間を預ける行為だから、やっぱり(小原さんの作品に)預けたくなりますよね」と川田さんは評します。「口癖とか、その人にくっついてるもの」をよく覚えているという小原さん。例えば、「いい夜だな」と言うことが「酔っ払ったなっていう合図になってる」、「そういう人っているじゃないですか。なんかそういうのが好きなんですよ」とのこと。川田さんは、小原さんの連載(「気になるギャラリーを訪れた後に、近所のお店へひとりで飲みに出かける連載」である、「ARToVILLA」での連載『午後のアート、ちいさなうたげ』の書き方についても、「どうしています?」と質問。こちらは「基本的にはメモを取らずに、1週間ぐらい置いて“忘れる”に任せて、忘れなかったことだけ書く感じにしています」と小原さん。ユーモアがある方が好き『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』について、川田さんが「ちゃんと聞きたかった」というのが、小原さんの美容師時代の話題。「徒弟制というか、下積みがちゃんとある世界だから過酷なのはわかってたけど、でもそういうのを小原さんは自主出版の時、揚げ足を取るようなジャーナリスティックな書き方も多分できたけど、ちゃんとユーモラスに書いたでしょ。何か理由はありました?」と質問。「そうですね、ユーモアがある方がどちらかというと好きなので」という小原さんは、「最初出てくる状態のとき(の感情)は、悲しいとか、怒りみたいなものが滲んじゃってたりするんですけど、そこら辺を引っこ抜いて、どちらかというとユーモア寄りに仕上げてる感じです」と明かしました。「じゃあ結構推敲したってことですか」と川田さんが聞くと「『唐揚げ』は推敲しましたね。初めて人に見せる用に書いた文章だったので」とのこと。自身を切り取った一言は「ほがらかふう」「Morisawa Fonts ROAD TO INNOVATION」では、ゲストに「自分自身の考えを自ら切り取る言葉」を訊ね、その言葉を、ゲストお気に入りのフォントとともに紹介しています。小原さんが自身を切り取った一言は「ほがらかふう」。「完全に自分が朗らかな人間かと言われるとそうじゃない部分の方が大きいんですけど、朗らかなものは好きだし、でも朗らかを装おうとすればするほど遠のく部分もあるので、『ほがらかふう』ぐらいでずっとやっていこう」とその言葉の意味合いを明かしました。「エッセイ自体がすごいグロテスクな話にも、笑い話にも、いかようにも読めるから。そういうものを作家としてはやっぱり届けたいんでしょうね」と考察した川田さんに、「そうかもしれないですね」と小原さん。そして「できる限りシンプルなものがいい」と選んだフォントは「解ミン 月」。自費出版の際フォントを自分で考えた時も、同じくシンプルに「あんまり癖のないやつ」を考えたそうです。PODCAST | 川田十夢×小原晩本記事の放送回をディレクターズカットでお聴きいただけます。%3Ciframe%20src%3D%22https%3A%2F%2Fplayer.sonicbowl.cloud%2Fepisode%2Fbaeb6e3d-4c9f-4f35-9c3a-dddbe73ade9c%2F%22%20allow%3D%22autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20fullscreen%3B%20picture-in-picture%22%20height%3D%22240%22%20width%3D%22100%25%22%20style%3D%22border%3A0%22%3E%3C%2Fiframe%3E