インターネットで世界が変わることを打ち出した『WIRED』日本版番組ナビゲーター・川田十夢さんが初めに尋ねたのは、小林さんが当時在籍していた同朋舎出版からの雑誌『WIRED』日本版の創刊について。「創刊は94年ですよね。その時期に『WIRED』を創刊したのは早すぎませんでしたか。あたりまえですが、Windows 95も出ていないころです」。小林さんは、「ちょうどインターネットが民間でも使えるようになった時期で、当時、インターネットユーザーが日本に350万人ぐらいしかいなかった」と時代を振り返ります。似たような雑誌は他になく、音楽、映画など扱う特集によって書店の売り場も変わる「流浪の雑誌」と言われていたとか。「(インターネットで)これからすっごい世界変わるよ。その変革にテクノロジーというのがコアにあって、それによってすごく変わるんだ」という点を伝えるべく、「どう変わっていくかを分野ごとにまとめてレポートしていた」と振り返ります。編集は「みんなのエージェント」放送では、小林さんの編集観についてさらに深掘り。現在は株式会社インフォバーン代表取締役会長兼社長として多彩なビジネスを手掛けますが、「何を切り取って、何を提示して、みんなのために何をするんだという。編集の時も、みんなのエージェントだと思っていたんですね。『これ知りたいでしょ』というのを皆さんの代わりに取ってきて、お伝えするという。編集というのは、いろんな物事の交通整理でもあり、概念を示したりという形なので、今も新規ビジネスを立ち上げても、作っているものが雑誌とかWebとかではなくなっただけで、やっていることは編集だと思っています」とのこと。2017年より「欧州のSXSW」と呼ばれるドイツ・ベルリンのテック・カンファレンス「TOA」の日本公式エバンジェリストを務める小林さん。「TOA」公認のドイツへの視察プログラムを手がける際もその考えは同様で、「バス会社からは距離の近いところから周る行程を提案されるんですけど、それだとコンテクスト、文脈がちょっと違うんです。体験が変わってきちゃう」「初日にどこに連れていって、最後の日に何を見せるかというのも編集だと思っている」といいます。川田さんが続いて質問したのが、インターネットが普及した中で「編集者の役割」が弱まっているか、強まっているかという点。「弱くなったと思います」と小林さん。「雑誌は、1ページから最後のページまでどういうバランスで作っていくかという“リニア”。線形に作られているので、映画にちょっと近いのかもしれないですよね」という一方で、「インターネットのコンテンツ自体がザッピングできる」ものという点がその理由。「ただWebはWebで、編集長の役割というのは、そういう線形ではない形でどうやってブランディングをしていくかとか、もっとスタッフに遊んでもらうにはどうするかという、また違う形の編集になってきているなという気はします」と語ります。ドイツ・ベルリンは「スーパーリベラルな街」「TOA」に関連して、話題はさらに日本とドイツのテクノロジー分野の環境について。「ドイツは、まず英語圏に対してアピールしないとユーザーの母数が全然少ない。なので最初からグローバルサービスを立ち上げる。あと、そのIPを上場、株式公開するというゴールがすごく狭き門なんです」「なので、割とアメリカ企業に売却したり、そういったことをエグジットにしている会社が多い。そういう意味ではスタートアップがどんどん出てきていて、スタートアップのインキュベーションのエコシステムは10年以上前からすごく発展している」と解説した小林さん。さらに「コワーキングだけでもベルリン市内でものすごい数がありますし、大きい企業もベルリンにラボみたいな拠点を置いて、イノベーターの人たちを育成するようなことをやっていますね」と語る小林さんに、川田さんは「プログラマー界隈でいうとベルリンとかが過ごしやすさを感じました」とドイツの首都・ベルリンの環境について触れます。「そうなんですよ。スーパーリベラルな街で、昔だと(長らくベルリンに滞在した)デヴィッド・ボウイとか、もともとアーティストが多いので」「ビジネスが独占的になってきているところに対してはNoと突きつけるようなカルチャーもまだ根強くあるし、ハッカー文化、ハッカーコミュニティがベルリンはものすごく昔からある」と語る小林さん。こういった状況はドイツの中でも特別だそうで、ドイツの友人からよく「ベルリンと他のドイツの他の市は一緒にするな。ベルリンはベルリンという名の惑星だ」と言われるそうで、「その表現ってすごく言い得ている気はします」とのこと。現在取り組む「AI駆動開発」とは?さらに個人では、AI駆動開発者のコミュニティ「Auto Dev Ninja」を主催。「AI駆動開発」とは何かと聞くと、「ローコード、ノーコードでシステムを作ったり。(自身は)エンジニアじゃなかったんですけど、AIに聞きながらいろいろ教わって、ソフトウェアを作ったりしています」ということだそう。実際に自身でも「無人のメディア、編集者。記事を毎日僕に届けてくれる」ソフトや、「シンクタンクなんですけど無人。徹底的にリサーチして、ある業界のこの話っていう潮流を分析して、それをアウトプットしてくれる」ソフトを作っているとのこと。自身を切り取った一言は「魂の旅行代理店」「Morisawa Fonts ROAD TO INNOVATION」では、ゲストに「自分自身の考えを自ら切り取る言葉」を訊ね、その言葉を、ゲストお気に入りのフォントとともに紹介しています。小林さんが自身を切り取った言葉は「魂の旅行代理店」。視察プログラムを自身が手がけた際に「目指しているのは単に教養とか知識が身につくんじゃなくて、行く前と行った後で人生観がガラッと変わっているような、そういうものを」と志向したことを踏まえ、「やっぱり雑誌もそうじゃないですか。読んだ人たちから『これで人生変わりました』って結構言われる」と、編集者としての仕事観を踏まえた一言。フォントは、「凸版文久見出し明朝」をセレクトしました。PODCAST | 川田十夢×小林弘人本放送をディレクターズカットでお聴きいただけます。%3Ciframe%20data-testid%3D%22embed-iframe%22%20style%3D%22border-radius%3A12px%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fopen.spotify.com%2Fembed%2Fepisode%2F39jtYX19MdFjds9ARCijz6%3Futm_source%3Dgenerator%22%20width%3D%22100%25%22%20height%3D%22352%22%20frameBorder%3D%220%22%20allowfullscreen%3D%22%22%20allow%3D%22autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20fullscreen%3B%20picture-in-picture%22%20loading%3D%22lazy%22%3E%3C%2Fiframe%3E